2020年1月

令和元年度 第4回N-HECを開催しました(12月14日)

2020年1月15日 水曜日

 少し遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。今年も楽しく学びながら、日々の看護実践や教育の活力を得られるような学習会を、参加者みんなで作っていきたと思います。どうぞよろしくお願いします。

前回の事例検討で、参加者のAさんは、失語症患者Bさんの思いをナース達が理解できず、Bさんと距離を取ろうとしてしまうことに対して「あんなにサインを出しているのに、なぜ訴えがわからないのだろう」と悩んでいることを話してくれました。そして、Aさんが患者さんの全体をありまま捉えようとする看護実践が波及し、「I care you」が伝えられるよりよい病棟環境をつくるにはどうすれば良いのかと対話をしました。

そこで今回は、アクションリサーチが役に立つかもしれないと考え、書籍(筒井真由美(編)研究と実践をつなぐアクションリサーチ入門 看護研究の新たなステージへ,ライフサポート社,2010)を用いて、アクションリサーチについて学習しました。アクションリサーチは、客観性や妥当性・一般化をめざした実証主義の(いうなれば量的な)研究とは違い、特定の現場に起きている特定の出来事に焦点を当て、そこに潜む問題に向けた解決策を現場の人と共に探り、状況が変化することを目指すものです。実践と研究は分離できないというニューマン・プラクシスと非常に馴染む研究デザインであり、遠藤恵美子先生を中心に、ニューマン理論に基づく看護実践研究として複数報告されています。アクションリサーチは社会学者のLewinが創始者であり、全体論を唱えるゲシュタルト心理学や集団力学(グループダイナミックス)を基盤においています。つまり、「いま、ここ」に目を向けて、集団を構成するメンバー同士の相互作用に注目すること、そして、相互作用しあう仲間が共に行動を起こし、解決に向かうように導くことであるといえます。

アクションリサーチのプロセスでは、何度も立ち止まって状況を振り返るリフレクションが欠かせないということを学びました。また、研究者がどのように関与するのかが重要で、当事者とは違った視点でその状況を見ることができるのではないかと感じました。私たちの学習会でも、それぞれの違った立場での意見は大変貴重であり、違った発想に目から鱗が落ちることがあります。

 学習を終えて、本日の参加者からは「研究としては難しいけれど、毎日の看護実践には活用できそう」「初めて知ったけどニューマン理論に近いから理解しやすい」という声があがりました。そこで次回は、ニューマン理論におけるアクションリサーチの実際について研究論文を用いて、実践的に活用する方法を具体的に考えたいと思います。

 

今回は、新しい仲間がひとり増えました。それぞれ色々な立場の人たちとの学習は、新しい発見があります。どなたも大歓迎です、是非ご参加ください。