2022年1月

令和3年度 第3回学習会を開催しました(12月11日開催)

2022年1月6日 木曜日

 12月11日に令和3年度の第3回学習会をリモートで開催しました。私たちは画面の中で「久しぶり」と手を振り、いつものようにまずは近況を話すことからはじめました。この時期は新型コロナ患者数が減少している状況にあり、臨床はほぼ平常の忙しさに落ち着いているようでしたが、参加者は旅行や会食には気乗りせず、相変わらずをされていました。やはり、医療者である立場上、自分が新型コロナウイルスに感染した場合の職場や家族への影響を考えると、まだまだ感染対策を緩めることができないという責任を感じていました。このような中で学習会のメンバーが顔を合わせ、看護を語り合い学ぶことは意義深いことであると考えています。

 さて、今回の学習は、前回の続きでミューチュアル・アクションリサーチ(Mutual Action Research:以下MAR)をテーマとしました。前回学習したMARの特徴を復習したあと、三次真理先生・遠藤惠美子先生著の書籍「ミューチュアル・アクションリサーチ」第3章を抄読しました。

 抄読を通して私たちが最も感銘を受けたことは、看護師たちのケアの「願い」を実現するためのプロセスです。看護教員と臨床看護師のパートナーシップが成立するまでの過程は簡単ではなく、多くの時間をかけて対話が繰り返されていました。このプロセスにはかなりの忍耐が必要ですが、なぜ乗り越えることができたのか―それは、立場や考え方は異なっても、患者や家族に良いケアを提供できる豊かな環境でありたいという「願い」の共有ができたからです。これはMARにおいて最も重要なことであると理解できました。 

 また、この書籍に描かれていたMARに参加する看護師たちは、とても生き生きとしていることが印象的でした。私たちが臨床看護師として研究をするとき、時間の調整などの苦労が多くありました。振り返ってみると、「研究をすること」が目的になっており、研究活動が楽しいと思えず苦痛にさえ感じてしまうことがありました。しかし、このMARの研究方法では、普段からそれぞれが思い描いている「願い」について対話が繰り広げられ、患者や家族に寄り添った看護実践を実現することをめざしています。実践と研究に境界はない、だからこそ研究者たちの達成感や成長にも繋がることが分かりました。

私たちはこれまで、ニューマン博士が推奨するケアリング・パートナーシップは、繰り返される対話の過程で進化することを学んできました。今回の抄読でも、パートナーシップを築くためには、ともに進化していくための対話の過程そのものがまずは重要であると感じました。

 次回からも他の章の抄読を継続し、MARの具体的な実際の学びを深め、いつかMARの実践をしたいと思います。