お知らせ

H29年度 第8回N-HECを開催いたしました(2月17日)

2018年2月20日 火曜日

今回は、先月に引き続いてDavid.  J. Bohmの「ダイアローグ 対話から共生へ、議論から対話へ」の第2章を抄読しました。

事例検討はお休みで、3時間半どっぷり抄読会と、意見交換でしたが、話題が尽きずに時間オーバーとなりました。

前回の抄読会で、対話について理解しつつあるものの、日常の中で周囲の人との関わる場面で、あるいはミーティングなどで対話を取り入れるにはどうしたらよいのか?という疑問も残っていました。

病院や教育機関で働く私たちには、上下関係があったり、話し合いでは結論を導くことを求められることが多々あります。

このようなとき、対話のように結論を求めず、参加者がフラットな関係で話しあうことには限界を感じてしまいます。

そのため、自分の考えをありのままに伝えられないジレンマに陥ることがあります。

抄読会を通じて、目的を持った話し合いの場では、完全に(ボームが言う本来の)対話を取り入れることは難しいと認めること、

まずは、話し合える環境・・つまりは、日ごろの人間関係によって相手を信頼できるという土壌をつくること、

自分を客観的に見る努力を継続すること・・・などによって、対話ができるようになっていくのではないか、と考えました。

ニューマン理論が大切にする、全体論の視点で物事をとられられるようになると、目的を持った話し合いの場面でも、より創造的な結果を導くことができるのではないか?と思います。

対話について学ぶ機会は、ニューマン理論の基盤を理解することに非常に役立ちました。これからも、ボームの主張にも戻りつつ、より理論の理解を深め、実践に繋いでいきたいと思います。

来月は3月10日(土)13時半~開催です。今年度最後の学習会です。是非ご参加をお待ちしております。

 

H29年度 第7回N-HECを開催しました(1月20日)

2018年1月25日 木曜日

平成30年になりました。今年も少しずつ成長する学習会でありたいと願っています。

このページを読んで、少しでも「面白そうだな」と思われた方は、是非ご参加ください!

さて、新年初のN-HECは、「対話」について学習をしました。対話は、ニューマン理論の要点であり

遠藤恵美子先生のニューマン理論・研究・実践研究会においても、対話が重視されています。

しかし、対話とは何か??ニューマン理論を学び始めてから、対話という言葉について十分理解しないままであったことに気付き

今回の学習会のテーマにしようと考えました。

抄読した書籍は、David.  J. Bohmの「ダイアローグ 対話から共生へ、議論から対話へ」の第2章です。

Bhomによると、対話によって、参加者全体に一種の意味の流れが生じ、そこから何か新たな理解が現れてくる、

そして、私たち一人一人には、異なる思考があり、それを自分と同一視して頑なに守ろうするために、対立が生まれると述べています。

このような対立を避けるためには、想定を“保留状態”にすること・・つまり、自分自身に生じた想定を脇に置きおいて、

ただただ、じっくりと観察する(客観視する)、自分自身の感情さえも、客観視することが大切だと主張しています。

抄読を終えて、日常的な他者との会話の場面を例に、対話を可能にするにはどうすれば良いのか?という話題になりました。

その結果、対話の本来の意味を、自分だけではなく相手も理解していること、対話ができる関係づくりのためには

継続して話し合う機会をもつことが重要だと気付きました。私たちN-HECのありかたも、大いに考えさせられる機会となりました。

後半の事例検討は、教員である参加者から、実習指導場面における事例を提供していただきました。

最初は、学生の受け持ち患者さんの変化に焦点を当てて現象をみていましたが、語りをすすめるうちに

教員自身が指導者や患者さん、学生の間で、自己の看護観を守ろうとしているパターンが見え始めました。

自分のケアパターンに気付くこと・・この場合は教育パターンともいえるのでしょうか・・は、看護師/教員としての自分を成長させる鍵になると思いました。

話題提供者にとっては、少し辛い体験であったかもしれませんが「何だかすっきりしました」と、感想を話してくれました。

このように、日ごろの看護(看護教育)の実践における気がかりから抜け出す道筋を、ニューマン理論は与えてくれます。

是非、皆様もN-HECでこのような体験をしてみませんか?

H29年度 第6回N-HECを開催しました(11月11日)

2017年11月11日 土曜日

今回は、キャロル・ピカードほか著,遠藤恵美子監訳の「ニューマンプラクシス 第2章 看護学への貢献」を抄読しました。

これまで、様々な角度でニューマン理論についての理解を深めようと学習を重ねてきましたが

今年度から参加してくださっているメンバーも数人おられることもあり、もう一度ニューマンプラクシスの基本について、学びなおす機会になりました。

パターンとは何か、混沌とは何か、意識の拡張とはどのようなことか・・いくつかの疑問を互いに確認し合いました。

抄読を担当してくれたメンバーは、「混沌に陥っているとき、パートナーシップが必要であることは分かったが、そのタイミングがうまくつかめるのだろうか」

と、これまで出会った患者さんの看護の体験を思い浮かべながら話してくれました。

このことについて、混沌に陥っていることは患者さん本人が気づかないことも多いのではないか、ナースだからこそ分かる「今」という感覚を信頼して、パートナーシップに誘ってもよいのかもしれない、といった意見がありました。

ニューマン理論を学習し始めた時は、「ナースなら今、が分かる」という遠藤先生のお言葉に「そうなのかな?」と不安も感じていましたが

今となっては、自信をもって「ニューマン理論を学んだナースであれば分かる」と納得の声が挙がりました。

このように、繰り返し理論の根幹となる部分を学びなおすと、私たちの成長にも気付くことができることが分かりました。

続く事例検討では、現在関わっている患者さんの看護についての悩みを、ひとりのメンバーが語ってくれました。

患者さんのパターンを掴みづらい背景が様々あり、また、今後病状の悪化が免れない状況の中で、どのようにパートナーが組めるかを全員で考えました。

まずは、焦らずに患者さんのパターンを掴んでみてはどうか、患者さんのご家族とパートナーを組むと良いのでは、という結論が見いだされ

今後も、継続的にN-HECで話題提供をしてくださることになりました。

N-HECは、理論と実践がつながることを目指してきましたが、最近は次第にそれが実現できるようになってきました。とても嬉しく思います。

 

また、今回のN-HECには、新たに臨床ナースがお1人、参加してくださいました。

少しずつ、ニューマン理論に魅了される仲間が増えているように思います。

これからも、活動を継続していきますので、ご興味のある方は、是非一度参加してみませんか?

 

 

 

 

H29年度第5回N-HECを開催しました(9月9日)

2017年9月11日 月曜日

第5回のN-HECを開催いたしました。

今回は、まず、終末期のがん患者さんへの看護実践についての検討を行いました。

事例提供者のナースは、ニューマン理論を学んだことで、患者さんに自分なりの「I care you」を伝えていました。

そして、関わり続けた結果、患者さん自らが、生きる時間が短いことを子供に伝えられない苦しい胸中を語ってくださるようになり、パートナーシップが始まりました。

しかし、ナースがパートナーシップの終わりを確信できないまま、患者さんは在宅へと移行し、その後にどのように意識が拡張し、

終末期がんと共に生きることが出来たのかは分かりませんでした。訪問看護師によると、最期の時には、家族みんなに見守られており、患者さんは「自分で伝える」という選択をしたのだという推測はできました。

この事例を通じて、なかなか助けを求められない患者さん対して「I care you」を伝え続け、いつでも助けになれるということを示すことの大切さ、

まずは身体的苦痛を取り除くことが課題であり、なおかつ入院期間が限られる終末期患者に対して、対話を重ね、パターン認識を促すことや、

患者さんの変容を見届ける(パートナーシップを終える判断ができるまで寄り添う)ことの難しさが論点となりました。

この点については、今後出会う患者さんへの看護を通じて、検討を継続することになりました。

そして、今後、その成果を、「ニューマン理論・研究・実践研究会 対話集会」で報告し、更なる示唆を得たいと考えています。

次いでは、「ケアリングプラクシス」第7章を抄読しました。抄読を終えて、この家族のパターンをどうとらえればよいのか、また、プラクシス・リサーチの方法について、これまで学んだ知識を想起しながらディスカッションをしました。

前半の事例検討の後に抄読を行ったことで、プラクシスリサーチについてより深く学ぶことができたと感じました。

 

今回の学習会では、ニューマン理論を日常ケアに意図的に活用した事例を報告して頂き、N-HECの取り組みが実践に繋がりつつあることを確信しました。

プラクシス・リサーチが日々の看護に取り入れられることを目指して、学習を継続していきたいと思います。

 

 

 

 

H29年度 第4回N-HECを開催しました(7月8日)

2017年7月11日 火曜日

7月8日(土)に、第4回N-HECを開催しました。

本日の参加者は8名で、新たに脳卒中の認定看護師さんが参加してくださいました。

がん看護領域以外の様々な専門分野の看護師が揃い、普段気づかないような視点を与えてもらえることは、N-HECの大きな強みであると思っています。

 

さて、この度抄読したのは、『存在することの力』がテーマの論文(*)です。

翻訳を担当したメンバーが「難しい論文だった」と感想を述べた通り、抄読後しばらくの間、参加者からは言葉が出ず、

論文を何度も読み直しながら、これまで学んだことや自身の看護体験とのすり合わせを試みる時間が続きました。

そして、「存在することを受け入れられることが前提になる。どういう看護師のありようが患者さんを語りに誘うのか?」というディスカッションになりました。

また、ニューマン理論の「I care you」の伝え方によっても、全く違う結果が生まれるのではないかという意見もありました。

これらに対するディスカッションから、「私がこうしたい、変わってほしい」という気持ちではなく、「私にあなたを助けさせてほしい」という心のありようと、そのメッセージを伝える事が重要だと学びました。

このメッセージは、多くの場合言葉で伝える事が多いものですが、ある参加者の看護実践の紹介から、

ダイレクトな言葉はなくても、看護技術の提供でもそれが可能なのではないか?という気づきが生まれました。

患者さんが何を求めているのかをキャッチし、それに沿える看護技術が提供できれば、患者さんの信頼を得ることができ

(つまりは存在することを受け入れられる前提が整い)、患者さんの語りが促される、患者さんが変容できるのではないか・・と考えました。

以前から、日本人が口にすることが少ない「I care you」をどう伝えるかは関心事であり、疑問でした。今回は、その手掛かりがみえるような機会でした。

後半は、救急病棟における終末期患者さんの家族への看護実践について事例検討を行いました。

病気の成り行きを読み、「今だ!」というタイミングをはかり、家族に介入する熟練した看護実践の報告に参加者から賞賛の声が上がりました。

事例提供者は、「対話をするという介入ではなかったが、ニューマン理論を学んだので、看護師は家族と同じ大きさの車輪となり、パートナーシップを組むことが必要だと思っていた」と語ってくれました。

これからも、ニューマン理論を学ぶと、日ごろの看護が変わる体験をこの場で共有していきたいと思います。

8月は休会です。次回は9月9日(土)の予定です。ご参加お待ちしております。

*Guenther M.B(2011).Humanties Art,Language, and Spirituality in Health Care Healing:The Power of Presense.A refurection healing, Jurnal of Pain and Symptom Management,43(3),650-654.

H29年度 第3回N-HECを開催しました(6月10日)

2017年6月18日 日曜日

6月10日(土)に第3回N-HECを開催しました。

今回抄読した論文は、

早川満利子&嶺岸秀子(2012)術後外来通院中の老年期頭頸部がん体験者・家族へのがんリハビリテーション,日本看護科学学会,32を(2),24-33

です。この論文では、外来に通院する4組の頭頚部がん患者と家族(妻)が、研究者(がん専門看護師)とのパートナーシップによって、大きく変容するプロセスが明らかにされていました。

彼らは手術によって声を失い、食べる機能が障害され、大きな苦悩を体験していました。

しかし、その中でも様々な生活の工夫をし、夫婦・そしてその他の周囲の人々との絆を深めて、がんの意味を見出していく姿が印象的でした。

参加者は、がん手術によって人生が一変した患者とその家族に対して、外来看護師がニューマンに基づく看護実践が必要であることを実感しながらも、時間に追われる外来診療の場でどうすれば可能なのか・・という関心を持ちました。

そして、まずは患者や家族をニューマン理論の眼差しでとらえるナースを一人でも多く増やすこと、

時間がないことを理由にせず、どうずれば患者と家族に寄り添うことができるのか、あきらめずに考えることが重要であると話し合いました。

後半は、参加者Aさんの一人が自身の病の体験を語っていただくという、これまでとは違うかたちの事例検討でした。

診断から幾度もの治療を乗り越えるプロセスにおける苦難や周囲の人々との関係性など、当事者の声が私たちの胸に響きました。

また、Aさんは最後に、これまでの生き方を見つめなおすことができたと同時に今後の人生を前向きに歩んでいく決意を語ってくれました。

これはまさに、パターン認識によって意識が拡張するプロセスそのものであり、患者さんや家族が苦悩を乗り越えて新たな人生を歩むためにニューマン理論が役立つことを再確認しました。

 

今回も、和気あいあいと思うままに看護を語り合う楽しい学習会でした。

参加者のお一人は、昨年生まれたお子さんと一緒に参加してくださいました!このように、N-HECはお子さん連れの参加も大歓迎です!

どなたもお気軽にご参加ください。

次回は7月8日(土)13時30分~17時です。

 

 

 

H29年度 第2回N-HECを開催しました(5月20日)

2017年5月22日 月曜日

5月20日(土)に、第2回N-HECを開催いたしました。

今回は、婦人科外来看護師である参加者が体験した、印象深い患者さんの事例について、

ニューマン理論の眼鏡をかけてじっくりと検討をしました。

参加者は、がん治療に関する意思決定を迫られた患者さんの辛さ、目の前の患者さんを助けたいというナースの思いに心を寄せ、事例に入り込みました。

「I care you」をいつ、どのような言葉で伝えれば、患者さんのパターン認識を促進できるのだろうか?

外来という場で、ニューマン理論に基づくケアを実践するにはどうすれば良いのか?

ヤングの意識の進化のスペクトルでみるなら、患者さんはこのとき、どの進化の局面?

この事例を通じて、ナース自身はどう変化したのだろうか?

・・などなど、多岐にわたる側面から途絶えることなくディスカッションが続きました。

そして、ディスカッションしながら、患者さんとその大切な人の関係を表象図に表してみました。

すると、「何だか違う」という違和感も生まれ、どうすればパターン認識を促す表象図になるのか、あれこれと頭をひねりました。(以下、試行錯誤の産物です)

学習会の最後には、事例提供者であるナースは「自分の看護を客観視できた。この場面で、このように患者さんを捉えていれば、ケアが変わっただろうと思う。これから出会う患者さんに、この気づきを活かしたケアをしたい」と感想を述べていました。

これからも、私たちは事例を通じて実践と理論を繋ぐ試みを継続していきます。

みなさんも是非、仲間になってください。

 

H29年度 第1回N-HECを開催しました(4月15日)

2017年4月17日 月曜日

H29年度の第1回N-HECを開催しました。

今回は、ニューマン博士の「The Pattern that connents」を抄読しました。

論文に書かれていた内容は、これまで読んできた論文のまとめのような内容でしたが

改めて、様々な学問や知を統合するパターンという概念について学びました。

私たちは、看護実践の中でも教育活動の中でも「これは良い、悪い」という認識で行動することが多くあります。

それは当然、大切なこともたくさんあります。しかし、新たな知の創造においては、両者を含み、それを超えることが重要です。

「こうあるべきだ」という固定観念を捨て、全てのものを受け入れる寛容さ、柔軟さが大切であると思いました。

また、抄読後のディスカッションでは、患者さんや家族が不調和を起こしている反応をキャッチする、看護師の感性が話題にのぼりました。

参加者の体験を聞きながら、ニューマン理論を学ぶことが、この力を育むひとつの機会になっていると感じました。

後半の事例検討は、救急病棟での終末期ケアに関して、2つの事例提供がありました。

ニューマン理論を意図した介入ではなかったものの、看護師が投げかけた一言が、患者の家族のパターン認識を促し

家族の行動が変わるきっかけになったのではないか・・と意見がありました。

難しい場面の関わりだからこそ、理論に導かれた質の高い看護実践が求められることを痛感しました。

 

H29年度N-HECのお知らせ

2017年3月22日 水曜日

H29年度のN-HEC開催日程をお知らせいたします。

但し、日程は変更の可能性があります。変更につきましては、HPで適宜お知らせを致します。

基本的には、第2土曜日を定例開催としております。時間は、今年度より13:30~17:00です。

415日,520日,610日,78日,99日 

1014日,1111日,1月未定217日,310日

是非、ご参加ください!

H28年度 第6回N-HECを開催しました(1月21日)

2017年1月26日 木曜日

2017年、1月21日(土)に今年度第6回のN-HECを開催しました。

今回は、危機をテーマとしてニューマン理論・プラクシスの理解に努めました。

まずはRapoportの論文「危機状態の理論的考察」を抄読し、危機とは何か、ニューマン理論との接点はあるのかをディスカッションしました。

複数の理論において、危機は災難や外的な脅威というだけでなく、成長を促進する可能性を持ち、新たな行動の呼び起こしとなると述べられています。

ニューマン理論では、私たちの知る範囲では危機crisisについて述べられていません。しかし、混沌chaosは人間がさらに高いレベルの健康を得るための

自己組織化の最中と捉えていることから、危機理論はニューマン理論との共通点が多くあることが分かりました。

これまで、ニューマン理論に関する論文を抄読してきましたが、このように違った角度から理論を見てみると、さらにニューマン理論が正しく理解できるのではないかと思います。

今回は、事例展開の時間が無くなる程、ニューマンプラクシスや日々の看護での気付きについてディスカッションが弾みました。

「ねばならない」ではなく、参加者が関心のあることを楽しく語り合えるようなN-HECに成長してきたようにも思えます。

次回は、2月18日(土)です。3月と4月は休会となります。どなたでも是非お気軽にお越しください。

今年もN-HECをどうぞよろしくお願いいたします。